Column181(1/31):イノベーション調達(2)(韓国)
Column70「イノベーション調達に関する通達(EU)」やColumn77「イノベーション調達に関する指針(EU)」では、イノベーションの促進に向けて公共調達を活用するEUの取組、また、Column129「イノベーション促進に向けた公共調達(14)(ドイツ)」では、ドイツにおけるイノベーション調達の取組を紹介しました。そして、Column180「イノベーション調達(韓国)」では、韓国におけるイノベーション調達の取組を紹介しました。
Column180「イノベーション調達(韓国)」では、昨今の韓国におけるイノベーション調達の推進に向けた取組として、調達庁(Public Procurement Service)が運営するオンラインモール(Inno-KONEPS)で、革新性があると政府が認定したモノ・サービス(以下「Innovative Product」という)を随意契約により迅速に調達することが可能、と紹介しました。
今回は、このInnovative Productが具体的にどのようなものであるか、紹介します。
Innovative Productは3つに分類されています。
①卓越した研究開発成果(Excellent R&D Products)、②革新的な試作品(Innovative Prototypes)、③革新性が認定されたモノ(Products recognized for Public Service and Innovation)です。
①は、企画財政部(Minister of Economy and Finance)と協議した手続きや基準に従い、中央公的機関が得た研究開発成果のうち、中央政府の長により革新性が認定されたモノ
②初期需要のチャネル提供及び商業化支援のため、企画財政部長と調達庁が設定した基準や手続きに従い、技術的な革新性が認定された商業化前の試作品(プロトタイプ)
③各中央政府機関の長により、調達庁や企画財政部長に推奨された、公共サービスやイノベーションに資すると認定されたモノ、またはイノベーション政策に沿ったモノ
①から③のいずれもオンラインモール(Inno-KONEPS)をつうじて調達することができます。
2021年時点で①から③の革新的なモノ・サービスは合計968件、内訳は①が299件、②が324件、③が345件と報告されています。
①の公的機関による研究開発成果は調達に至ることが難しいと捉えられることもあるかもしれませんが、②商業化前の試作品や③公共サービスやイノベーションに資すると認定されたモノ、と同程度の研究開発成果がInnovative Productとして認定され、オンラインモールをつうじて調達可能となっています。
企画財政部等が設定した基準や手続きに従い革新性が認定され、随意契約が可能となっている等、調達手続きを所管する機関がこのプロセスに関与していることは重要と思いますが、日本においても、公的機関による研究開発成果を含む革新的なモノ・サービスの調達を活用して、科学技術・イノベーションを促進することは検討に値するのではないでしょうか。
(出典)JST(2023)「科学技術イノベーション促進型公共調達制度の国際比較調査」、Korea Public Procurement Service
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