Column172(1/13):省庁共通品目の調達改善に係る会計検査(米国)
Column125「調達分野の決定方法(米国)」、Column135「省庁共通品目の調達改善に係る目標設定(米国)」、Column168 (10/16):IT調達における工夫(米国)では、米国連邦政府で取り組まれている“Category Management”の取組や“Category Management”の目標設定、IT調達における“Category Management”について紹介しました。
はじめに、米国連邦政府の汎用的なモノ・サービス(パソコン等)に関する支出は、2019年度で約3,500億ドルと報告されています。
そして、この3,500億ドルの支出に係る契約では、同一の事業者から同じようなモノ・サービスが納品・提供されている場合がある、とのことです。
同一事業者と同じような契約を締結することによる政府の購買力の低下やコスト削減機会の逸失といった非効率を防ぐため、2016年度から米国行政管理予算局(Office of Management and Budget、以下OMBという)は、特定の調達分野における各府省のまとめ買い(Category Management)を推進しています。
今回は、このCategory Managementに係る米国会計検査院(Government Accountability Office、以下GAOという)のレポート“FEDERAL BUYING POWER: OMB Can Further Advance Category Management Initiative by Focusing on Requirements, Data, and Training”を紹介します。
同レポートでは、以下の3点から、“Category Managemen”の推進状況を評価しています。
1.Category Managementを推進するOMBは、各府省の汎用的なモノ・サービスの調達において要件定義に係る改善取組を重視しているか?
2.各府省において調達データの分析は行われているか?
3.各府省は中小企業から汎用的なモノ・サービスを調達しているか?
各種ガイダンスのレビューや調達担当官、中小企業関連団体へのインタビュー等の結果、GAOは以下の点等を勧告しています。
1.OMBはこれまで以上にモノ・サービスの要件定義に重点を置くようにすること(OMBのガイダンスはまとめ買いの際の契約方法等に重点を置いており、まとめ買いをする際の調達要件をどのように定義するかといった要件定義に重点を置いていない)
2. 各府省のデータ分析の課題に対応するため、OMBが中心となり戦略計画を作成すること
3.(2016年度から毎年度、汎用的なモノ・サービスの受注者のうち中小企業の数が減少しているため)中小企業の受注促進に向けて、追加的なトレーニングを実施すること /等
注目したい点は、1つ目の勧告である、汎用的なモノ・サービスの要件定義を重視すべきという点です。
日本の中央省庁でも事務用消耗品等の共同調達が進んでおり、共同調達の対象となった品目については、参加機関の間で要件定義のすり合わせが行われています。
ただ、共同調達の推進役である内閣官房が、市場動向等を踏まえて、毎年度、どのように共同調達の各品目について要件定義することが適切か等の指針を示したり、各府省に要件定義のあり方について提案している訳ではありません。
最終的な要件定義を決定するのはあくまで発注者である各機関ですが、推進役となる内閣官房が、要件定義について踏み込んで指針を示したり提案したりすることで更なる効率化が期待できるのではないでしょうか。
(参考資料)
GAOウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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