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2020-10-16

Column168 (10/16):IT調達における工夫(米国)

Column125「調達分野の決定方法(米国)」Column135「省庁共通品目の調達改善に係る目標設定(米国)」では、米国連邦政府で取り組まれている“Category Management”の取組と“Category Management”の目標設定について紹介しました。

はじめに、米国連邦政府の汎用的なモノ・サービスに関する支出は、毎年約3,000億ドルと報告されています。

そして、この3,000億ドルの支出に係る契約では、同一の事業者から同じようなモノ・サービスが納品・提供されている場合がある、とのことです。

この同一事業者と同じような契約を締結することによる政府の購買力の低下やコスト削減機会の逸失といった非効率を防ぐため、米国連邦政府では、IT、人材サービス等、各省庁で共通する10程度の調達分野を特定し、調達分野ごとに契約の重複を防ぐ改善取組(Category Management)を行っています。

今回は、この改善取組の調達分野に含まれているIT調達におけるCategory Managementを紹介します。

米国会計検査院(Government Accountability Office、以下GAOという)のレポート“Selected Federal Agencies Need to Take Additional Actions to Reduce Contract Duplication”(2020)によると、連邦政府のIT調達は年間500億ドルに上り、その中には、上記の重複した契約による非効率が発生している、とのことです。

そこで、GAOでは、IT調達の契約額や新規契約数の大きい7府省について、行政予算管理庁(Office of Management and Budget)が各府省に通知しているCategory Managementの取組のうち、IT調達の改善に資すると判断した以下の5つの取組を実行しているか検査しています。

・Senior Accountable Official(※)を特定し、Category Managementを実施するためのプロセスや方針を作成しているか?

・Best in Class contract solution(最善の価格や条件等による政府横断的な契約)の活用を増やす等、連携・協調したIT支出を増やしているか?

・マーケットの最新の知見を得るため、事業者との関係構築に係る戦略を作成し実行しているか?

・調達済みのIT製品、サービスの価格・期間・条件を政府内で情報共有しているか?

・Category Managementに係る実務的な研修に職員を派遣しているか?

※:Senior Accountable Officialとは、副長官級のポストで他府省と連携・協調した支出を増やしたり、Best in Class contract solutionの活用を促進するための計画を実行したりするための戦略を監視する役割を担っています。

検査の結果、最も取組が進んでいなかったものは、サービスの価格等の政府内での情報共有(7府省のうち3府省は十分に実施、1府省は一部実施、2府省は実施の根拠を示せず(残りの1府省は調査対象外))と、連携・強調したIT支出を増加する取組(7府省のうち3府省は十分に実施、4府省は一部実施)でした。

日本でもIT調達については予算の一元化等、政府全体での効率化に向けた取組が進んでいます。

米国連邦政府でも政府全体でのIT調達の効率化を目指して、Category Management等の取組が進められていますが、調達価格の情報共有等、政府全体で連携した取組を徹底することの難しさが分かります。

日本における予算の一元化やデジタル庁の設置等、一元管理の方策が、具体的にどのような効率化に寄与し、実際に取組が徹底されているか?、掲げられている方策の実行状況を、丁寧にそして継続的にモニタリングすることは必要でしょう。

(出典)
Government Accountability Officeウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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