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2020-03-10

Column155 (3/10):共同調達の推進(フィンランド)

日本では、汎用的な物品・役務の調達について、スケールメリットの活用や事務の省力化を図る点から、内閣官房が推進役となり、複数省庁等による共同調達・一括調達が行われています。

同じように、英国でも、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下「CCS」という)が推進役となり、複数省庁等による共同調達が行われています。

このような共同調達の推進は他の国でも行われているのでしょうか?

他の国でも行われています。

今回は、フィンランドの共同調達を推進する機関(Hansel)を紹介します。

Hanselは、調達の生産性向上により公的支出を削減することを目的として、財務省の傘下に設立されました。

調達に精通した95名の職員が所属し、主に3つの業務に従事しています。

第一に共同調達に相当するjoint procurement、第二にtendering services、そしてprocurement development servicesです。

joint procurementでは、競争を経て、Hanselがサプライヤーと調達内容や価格等といった契約の一般的な条件を定めた枠組み合意(framework agreement)を締結します。

各機関は、Hanselが締結した枠組み合意を利用して、個別契約を締結することができるのです。

2018年度に最も利用された枠組み合意は、ITコンサルティング、健康管理サービス、施設利用サービスの順とのことです。

英国におけるCCSと同じような機能をHanselも有していると言えるでしょう。

共同調達の規模は2018年度で年間900百万ユーロ(約1兆円)と示されています。

2019年9月には、地方政府の共同調達を取りまとめていたKL-KuntahankinnatとHanselが合併したため、共同調達の規模は更に大きくなると予想されています。

次に、tendering servicesについて、これはjoint procurementの対象とならない個別の調達案件に係るアドバイスを行うものです。

2018年度では160件のプロジェクトが組成され、対象となった案件の規模は600百万ユーロ(約700億円)とのことです。

最後に、procurement development servicesは、調達に係るデータ分析や改善策の提案等、Hanselが各機関の調達業務の効率性向上に向けた各種支援を行うものです。2018年からは、小規模な機関における調達業務の一部受託も始めたとのことです。

このようにHanselは中央政府、地方政府の共同調達を中心として、調達改善に向けた様々な支援を行っています。

日本でも、内閣官房に設置されている行政改革推進事務局が中心となり調達改善が推進されています。

この調達改善の一施策として、汎用的な物品・役務の共同調達は推進されていますが、国の行政機関に加えて、地方公共団体や独立行政法人等、幅広い公的機関での共同調達は行われていません。

公共調達の合理化という意味では、公的機関の属性(国、出先機関、地方公共団体等)に関わらず、地域ごとに調達内容、量、市場の状況に応じて適切な調達単位、調達量を検討する等、幅広い機関での共同調達の推進が必要ではないでしょうか。

(出典)
Hanselウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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