Column137 (07/30):発注時期の平準化(日本)
日本では、Column2「公共調達に関する制度」で紹介したとおり、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)」(昭和41年法律第97号)があり、国等が物件の買入れ等の契約を締結する場合に、中小企業者の受注機会を確保するための取組を行っています。
この官公需法に基づき、毎年度、「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」が閣議決定されています。
Column58「中小企業の受注機会の増大」では、2017年度の基本方針の主な内容を紹介しました。
今回は、2018年度の基本方針に新たに盛り込まれた「働き方改革に対応する取組」を紹介します。
2018年度基本方針では、公的機関からの発注が年度末に集中することにより生じる長時間労働を是正するため、各府省庁等に対して以下のような取組を求めています。
・予算の繰越しや国庫債務負担行為の活用、発注見通しの公表や早期の発注等の取組により発注の平準化を図り、適正な納期・工期を設定し、中小企業・小規模事業者が十分対応できるよう配慮すること
・発注時期の平準化等の状況をモニタリングして、受注した中小企業・小規模事業者が長時間労働せざるを得ないような発注・契約の実態を把握するよう努めること
・契約後に受注者から働き方改革に関する相談があった場合には、官公需に関する相談体制を活用するよう努めること
もちろん、このような公共調達による長時間労働の防止については、地方公共団体の発注に対しても求められています(総務省自治行政局長等から地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的な助言として2019年12月に要請)。
ただ、今月開催された都道府県中小企業者調達推進協議会の資料によると、官公需発注における実態把握のため、発注者及び受注者に対して実施したヒアリング調査(※)では、依然として、自治体等の工事や印刷関係の発注が年度末に集中していると回答があった、とのことです。
※2019年10〜11月に かけて自治体等24件、事業者(組合等)27件にヒアリング調査を実施
2018年度の基本方針や地方公共団体に対する技術的な助言に強制力はなく、あくまで各発注機関の努力義務ですが、働き方改革に対応する取組というだけでなく、より効率的・効果的な調達に向けて、発注の平準化は重要な取組だと思います。
各担当課が予定通り早期に発注できているか?会計課等が発注時期の平準化の状況をモニタリングして、調達の進捗管理を徹底することは非常に重要でしょう。
(参考資料)
中小企業庁ウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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