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2019-07-19

Column135 (07/19):省庁共通品目の調達改善に係る目標設定(米国)

Column125「調達分野の決定方法(米国)」では、米国連邦政府で取り組まれている“Category Management”の取組を紹介しました。

米国連邦政府は、施設管理・建築工事、人材サービス等、各省庁で共通する10の調達分野を特定し、調達分野ごとの改善取組(Category Management)を行っています。

今回は、“Category Management”の取組にどのような目標が設定されているか?“Category Management”の目標設定について紹介します。

はじめに、米国連邦政府の汎用的なモノ・サービスに関する支出は、毎年約3,000億ドルと報告されています。

そして、この3,000億ドルの支出のうちかなりの数の契約は、同一の事業者から同じようなモノ・サービスが納品・提供されている、とのことです。

このような状況は予算の効率的・効果的な使用とは言えず、“Category Management”について、以下の2つの取組と目標が設定されています。

・なるべく“Category Management”を活用したまとめ買いをし、2020年度末までに180億ドルを節約すること

・“Category Management”の対象とならない契約のうち、同一の事業者からの同じようなモノ・サービスに係る契約を50,000件減少させること

2019年6月に公表された“Category Management”に係る行動計画では、これらの取組に関わる実績が示されています。

・“Category Management”を活用した調達価格の低減や調達量の削減、事務コストの節約で170億ドルの節約が実現

・類似契約の件数の削減について31,000件の減少が実現

ただし、類似契約の件数削減(約31,000件)のうち95%は、中小企業以外との契約によるものとのことです。

米国連邦政府では、Column3「公共調達における付帯的政策(1)(米国)」で紹介したように、中小企業の競争力を向上させるという政策目的を達成するため、一定金額の物品やサービスの調達において、一定条件を満たす中小企業と優先的に契約できることを連邦調達規則(FAR)で規定しています。

このような中小企業との優先的な契約と、予算の効率的な執行を両立させるため、類似契約の契約数の削減は、主に中小企業以外との契約を削減する形で取り組まれています。

日本でも、各府省は、調達改善計画を策定・自己評価し、省庁共通品目の共同調達に取り組んでいます。

ただ、予算の効率的な執行という意味では、共同調達の対象となっていない契約のうち、同じ事業者からの同一のモノ・サービスに係る契約件数を如何に削減するか?

中小企業の受注機会の増大に配慮しつつ、契約件数の削減に着目した改善取組とそれに係る目標設定も必要ではないでしょうか。

(出典)
Performance.gov

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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