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2019-02-19

Column119 (02/19):下請契約の把握(米国)

Column10「付帯的政策に関わる数値目標の設定と評価(米国)」では、米国連邦政府が中小企業の契約金額に関わる数値目標(23%)を設定していること、また、米国中小企業庁(Small Business Administration、以下「SBA」と略称)が、各府省における中小企業の受注機会促進に関わる取組の達成状況を評価したSmall Business Procurement Scorecards(以下「Scorecard」と略称)を公表していることを紹介しました。

また、Column12「付帯的政策に関わる評価(1)(米国)」では、SBAが公表しているScorecardの算出方法を紹介しました。

今回は、このScorecardの算出方法の変更について紹介します。

はじめに、Scorecardとは、各府省の中小企業への発注に関わる取組を6段階で評価するものです。6段階の評価結果はどのように導かれるのでしょうか?

6段階の評価結果を導くための要素と重み付けは以下の通りです。今回の算出方法の変更により、新たに1つ要素が追加され、重み付けも変わりました。

・元請契約の達成度(80%から50%に変更)

・下請契約の達成度(10%から20%に変更)

・7つの成功要因(専門家による各府省の取組(中小企業の活用に関する積極性等)のピアレビュー)(10%から20%に変更)

・元請契約を締結している中小企業数の変化(これまでは無し、新たに10%)

6段階評価において、引き続き元請契約の達成度が最も重視されているものの、下請契約やピアレビュー、さらに中小企業との元請契約数の変化といった新たな要素が追加されました。

米国会計検査院(Government Accountability Office)のレポート“Small Business Administration: Actions Needed to Improve Confidence in Small Business Procurement Scorecard”によると、各府省担当者へのインタビューでは、今回の算出方法の変更は中小企業の参加機会にあまり影響を与えない一方、下請契約の達成度に関わる比率が高まったことから、より下請契約の把握に注力することになるのでは、という指摘があったようです。

我が国でも、中小企業の受注機会を確保すること等を目的とした「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)」(昭和41年法律第97号)があり、中小企業・小規模事業者向けの契約金額や契約比率の目標が設定されています。

ただし、これはあくまで元請契約であり下請契約についての目標設定や実績把握はされていません。

我が国においても、公共調達における中小企業の参加を促進しようとする際、元請契約の参加状況だけではなく、下請契約も含めて参加状況を全体的に把握し、促進取組を検討することも考えられるかもしれません。

(参考資料)
Government Accountability Officeウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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