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2019-02-11

Column117 (02/11):契約先の経営破綻(英国)

Column38「英国国防省における競争性の無い契約(英国)」では、英国会計検査院(National Audit Office、以下「NAO」という)の検査のうち、英国国防省(Ministry of Defence)の競争性の無い契約に係る2001年の検査事例(Non-competitive procurement in the Ministry of Defence)を紹介しました。

今回は、国及び地方政府等と数多くの契約を締結していたCarillion社が経営破綻に至るまでの経緯を捜査(investigations)した2018年のNAOのレポート“Investigation into the government’s handling of the collapse of Carillion”を紹介します。

Carillion社の主要業務は道路工事や施設管理で、2017年には英国中央政府との契約金額上位6位に入る戦略的なサプライヤー(Strategic Supplier)でした。

英国中央政府では、戦略的なサプライヤーを対象としたリスク評価を実施することになっているため、Carillion社もリスク評価の対象になっていました。

リスク評価を担当する英国内閣府(Cabinet Office)は、Carillion社の下請契約先への支払遅延や業績の下方修正等を踏まえて、同社をハイリスク企業に格付けしていました。

しかし、個々の入札の発注者は、調達規則に照らして不適格とする根拠は無いと判断し、新規契約が締結され続けていました。

結果として、Carillion社は経営破綻し、受注していた数多くの公共サービスの継続性を確保するため、刑務所の運営を委託していた英国法務省(Ministry of Justice)は新たな政府出資法人を組成する等、多くの機関で様々な対応が必要となりました。

このCarillion社の経営破綻による多大な影響を踏まえると、英国中央政府が実施していた「企業のリスク評価」を「個々の発注」でどう活用すべきだったのか、という点は重要だと思います。

リスク評価の結果が良好でなければ入札に参加できない等、リスク評価と個々の入札参加資格を直接関連づけるためには、評価結果を支える明確な根拠が必要で、検討すべき観点は沢山あると思います。

ただ、例えば、日本の物品・役務等の調達で、過去の契約履行状況や発注者の評価、現在の経営状況等の複合的な評価結果を新たな調達でどう活用していくか?、公共サービスの継続性を確保するためにも、重要テーマではないでしょうか。

(参考資料)
National Audit Officeウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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