Column104 (10/3):市場との対話(カナダ)
Column61「公共調達における付帯的政策(カナダ)」、Column66「政府の調達ニーズの開示(カナダ)」では、カナダのイノベーション調達の取組「Build in Canada Innovation Program」を紹介しました。
今回は、イノベーション調達に限らず、調達前に政府と民間企業がどのように対話しているのか?、その方法を事例を基に紹介します。
現在、カナダ政府は、電子支払いシステムの安定化と人事管理システムの刷新に向けて、調達の事前公告(notice of proposed procurement)を行い、企業から両システムに関わるイノベーティブな提案を求めています。
事前公告では、企業が関心の有無を判断するために必要なシステムの概要や、政府の果たす役割等が示されています。
今回、事前公告で注目したいのは、案件に関心のある企業がウェブサイト上でリスト化されるという仕組みです。ウェブサイト上では以下の項目が公表されています。
・会社名
・氏名
・役職
・連絡先(メール、電話、Twitter、Linkedin)
政府の現在・将来のシステムに関わる課題やその解決策の提案が可能な企業をリスト化し、政府と企業の対話を促進するとともに、関心を有する企業間ネットワークの活性化が意図されています。
ただし、リストに掲載されている企業情報はあくまで各社が入力した情報であり、情報の正確性・信頼性を政府が担保している訳ではないとのことです。
日本でも、パブリックコメントで調達案件についての意見を求めるプロセスはありますが、案件に関心を有する企業間ネットワークを活性化して、イノベーティブな提案を促進する仕組みはあまり無いように思います。
関心ある企業名を公表することで、談合を促進する可能性等も危惧されますが、よりイノベーティブな提案を実現するため、このような企業間ネットワークを活性化する仕掛けも一案かもしれません。
(出典)
Public Services and Procurement Canadaウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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