Column90 (4/1):教育機関における調達(英国)
今回は、英国教育省(Department for Education)が公表している、学校等の教育機関におけるモノ・サービス、工事の効率的な調達のガイダンスを紹介します。
ガイダンスの基本的な考え方は、その他機関の調達と同様、Value for Moneyの実現と、EU調達規則の遵守であるとされています。
ガイダンスで示されている、具体的な調達プロセスは以下の通りです。
1.調達プロセスの計画立案
2.調達対象の詳細な記述
3a.フレームワーク合意に含まれるサプライヤーから一者を選定
3b.フレームワーク合意に含まれるサプライヤー間での競争の実施
3c.(フレームワーク合意ではない)価格競争の実施
3d.(フレームワーク合意ではない)経済的に最も有利な者を選定する競争等の実施
4.契約管理
5.上記の参考情報
この中で注目したい点は、各機関が独自に実施する競争(上記の3c、3d)よりも、調達に関わる時間と価格低減の観点から、フレームワーク合意を活用することが推奨されている点です。
フレームワーク合意に含まれるサプライヤーとの具体的な調達プロセスは以下の通りです。
・各教育機関は、7機関(※)が締結しているフレームワーク合意の中から調達対象に適したフレームワーク合意を選定し、競争を実施せず、一のサプライヤーとフレームワーク合意を踏まえた具体的な契約内容を調整し、契約を締結(上記の3aに該当)
※各機関が所属する地方政府、Central Buying Consortium、The Crescent Purchasing Consortium、Crown Commercial Service、ESPO、North East Procurement Organization、YPO
・上記と同じく7機関のフレームワーク合意の中から特定のフレームワーク合意を選定し、条件を満たす全機関に仕様内容等を伝え、関心の有無を確認(expression of interest)し、関心のある者の間で経済的に最も有利な者を選定する競争を実施(上記の3b)
Column86「クラウドサービスに関するフレームワーク合意(英国)」では、英国中央政府がクラウドサービスに関するCrown Commercial Serviceのフレームワーク合意を活用して、クラウドサービスを調達していることを紹介しました。
英国では、中央政府に限らず、学校等の教育機関においても、複数機関のフレームワーク合意を活用し、調達に関わる時間と価格を低減させようとしている点は、注目に値するのではないでしょうか。
(資料)
Department for Education
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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