Column89 (3/31):調達分野別の規模(英国)
Column88「スウェーデンの公共調達」では、スウェーデン(中央政府、地方自治体全体)の公共調達の規模が、2015年6,420億SEK(約81,830億円)で、概ね日本の国の行政機関とスウェーデンの中央政府、地方自治体全体の調達規模が同程度と紹介しました。
さて、英国の調達規模はどうでしょうか?
2014-2015年の調達規模は、中央政府、地方政府、エージェンシー、NHS等の公的機関全体で2,420億ポンド(約360,567億円)、そのうちモノ・サービスは1,920億ポンド(約286,070億円)と報告されています。
内訳を見ると、最も金額の大きいものが、地方政府の690億ポンド(約102,806億円)、次いで医療機関(NHS等)の610億ポンド(約90,886億円)、医療機関以外の中央政府及びエージェンシーの430億ポンド(約64,061億円)等となっています。
医療機関以外の中央政府及びエージェンシーの調達規模が約6.4兆円ですので、医療機関を除いた英国中央政府は、日本の国の行政機関(2016年度:約8.4兆円)より規模が小さいことが分かります。
さらに、英国全体の調達を分野別に見ると、最も金額の大きいものが、ICT約63億ポンド(約9,385億円)、次いで施設(Facilities)、専門サービス、防衛、工事等の順となっています。
英国では、ICT、施設、専門サービス等といったように、細かい調達分野毎の実績を英国全体で把握できるのです。
日本でも各省庁の調達改善計画を見ると、省庁のなかには、情報システム経費、庁舎管理請負経費、印刷製造請負経費等、細かい項目で実績を示し、傾向を分析している省庁もありますが、そうでない省庁もあります。
政府全体で具体的にどの分野の改善に注力するか等の戦略を立てる際、分野毎のデータは重要だと思いますので、各府省の取組というよりは、官庁会計システム(各府省の予算執行から決算過程における会計事務の電子システム)の活用等により、少なくとも国の行政機関全体の調達分野毎の実績を把握し、データ分析を実施する等の取組は必要ではないでしょうか。
(資料)
National Audit Office
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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