Column66 (09/29):政府の調達ニーズの開示(カナダ)
Column52「イノベーション促進に向けた公共調達(カナダ)(1)」、Column53「イノベーション促進に向けた公共調達(カナダ)(2)」では、カナダにおける付帯的政策、具体的には、イノベーションを促進するための公共調達の取組「Build in Canada Innovation Program」のプロセスと同プログラムのポイントを紹介しました。
このプログラムは、連邦政府が、市場で販売されていない製品やサービスの革新性を評価し、革新性が評価されたものについては、それを調達し、製品・サービスを利用した結果を企業等(NPO、大学等も含む)へフィードバックするというものです。
2年間の試行を経て、2012年から継続的に取り組まれており、公共事業・調達省(Public Services and Procurement Canada)が同プログラムを所管しています。
同プログラムのファーストステップは、「市場で販売されていない製品やサービスを開発した企業等が、プログラムのウェブサイトに自社製品・サービス等の情報を登録する」というものです。
では、企業等は、「市場で販売されていないけれども、政府に調達ニーズがあるもの」を、どのように把握するのでしょうか?
一つの方法として、プログラムのウェブサイトには、“Departmental innovation challenges”というサイトが設けられており、政府の革新的な製品・サービスに対する調達ニーズが示されています。
例えば、過去には、同サイトに以下のような情報が掲載されていました。
・機関:カナダ連邦警察(The Royal Canadian Mounted Police)
・対象:イベント等で使用する要人警護用の防弾パネル
・概要:連邦警察では各種イベント等で要人警護用の防弾パネルを使用しているが、防弾パネルを使用するイベント等の増加に伴い、運搬性の向上が必要。そのため、防弾パネルの軽量化に向けたソリューションを求めている。
・要件:防弾パネルを組み合わせて様々な形状にすることが可能であること、2人で設置することが可能であること 等
上記は、政府の調達ニーズの概要のみが記載されたウェブサイトですので、調達ニーズの詳細な把握は難しく、あくまで、革新的な技術を有する企業等と政府のコミュニケーションの第一歩に過ぎませんが、幅広い知恵を集めるため、政府が積極的に情報を提供し、より良い調達を目指す姿勢は重要ではないでしょうか。
(出典)
Public Services and Procurement Canadaウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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