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2017-09-04

Column63 (09/04):プリントサービスの合理化(英国)

Column49「プリンター等のフレームワーク合意(英国)」では、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Serviceが、プリンター等の多機能デバイスについてのフレームワーク合意を結んだ事例を紹介しました。

今回は、バーミンガム市がプリンター、コピー機、FAX等の出力機器を集約するMPS(マネージド・プリント・サービス)のフレームワーク合意を結んだ事例を紹介します。

はじめに、フレームワーク合意とは、「2006年の英国公共契約規則に規定された“長期指名候補者と事前合意制度”のことで、長期指名候補者(フレームワーク企業)を選定した上で、これら企業との間で4年を限度とする一定期間内の個別発注(コールオフ)に関する受注者及び契約額の決定方法、契約条件等(フレームワーク)に予め同意する方式」です。

バーミンガム市は、これまで、プリンター、コピー機、FAX等の出力サービスを個別に契約していました。

そこで、15%のコスト削減保証をつけたMPS(マネージド・プリント・サービス)の包括契約をCDS社と締結し、コスト削減とペーパレス化(デジタル化)の両方の達成を試みたのです。

ただ、契約の集約化による、地元企業への影響や、地域の雇用促進等を推奨する「社会的責任に関するビジネス憲章(Business Charter for Social Responsibility)」との整合性を考慮し、CDS社と元請契約を締結するものの、バーミンガム市議会から30マイル(約48キロ)内の地元企業を通じてサービスが提供されるよう設計した、とのことです。

この結果、初めの13ヶ月で年間予算の57%、2年間で170万ポンド以上のコスト削減(2年目も1年目の支出額の33%分の削減)が達成された、と報告されています。

また、CDS社は、上記のフレームワーク契約以外にも、地元企業との下請契約を締結し、地域に255,000ポンドの貢献があった、と示されています。

上記のように、契約を包括化した初期の段階では、かなりのコスト削減が実現すると思いますし、フレームワーク契約により、地元企業が元請契約先から下請契約先となったことによるネガティブな影響も気になるところです。

ただ、日本でも、「平成28年度上半期調達改善の取組に関する点検結果」の実施要領において、全府省庁でオフィス関連調達の合理化を検討すべき、とされています。

どの組織でも調達しているプリンター等の調達について、少なくとも、どの程度の規模の組織であれば、どのような発注ロット・発注内容での調達が効果的か、政府横断的に検討し、標準的な調達方法を例示することは、政府全体としての経費削減に寄与するかもしれません。

(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
内閣官房ウェブサイト
国土技術政策総合研究所資料第908号「英国・米国における包括・個別二段階契約方式-フレームワーク合意方式(FA)と数量未確定契約方式(ID/IQ)-」

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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