Column56 (07/11):イノベーション促進に向けた公共調達(4)(EU)
Column52「イノベーション促進に向けた公共調達(カナダ)(1)」、Column53「イノベーション促進に向けた公共調達(カナダ)(2)」、Column54「イノベーション促進に向けた公共調達(3)(オランダ)」では、イノベーションの促進に向けて公共調達を活用する、カナダとオランダの取組を紹介しました。
今回は、EUの取組を紹介します。
EUでは、EcoQUIPというプロジェクトが、2012年4月から2016年10月まで実施されていました。
イタリアやハンガリー、オランダ、ポーランド、イギリス、その他機関(企業、大学等)が参加した共同プロジェクトです。
同プロジェクトは、医療サービスの持続可能性、コスト、効率性、質を改善するため、サプライヤーのイノベーションを活用して医療サービスを調達した、イノベーション調達のパイロットプロジェクトです。
言い換えると、医療サービスの調達において、提供されているサービスでは充足されていないニーズを満たすため、政府機関等が、サプライチェーンにおけるイノベーションを促進・刺激して、モノやサービスを調達するアプローチが取られました。
イノベーション調達のプロセスは、以下の3段階と言われています。
1.Identification
政府機関等において、充足されていないニーズのアウトカムを特定すること(このidentificationにおいては、調達に関係する幅広い機関(予算当局、調達担当者、政策担当者、エンドユーザー等)を巻き込み、現在のサービスで不足している点を多角的に分析すること等が重要だと言われています)
2.Market Engagement
サプライヤーのキャパシティや上記1のアウトカムに対する評価等を確認した後、ワークショップや訪問等により潜在的なサプライヤーとコンタクトを取ること
3.Pro-Innovation Procurement
正式な入札プロセスに入る前のプロセス。潜在的なサプライヤーやサプライチェーンでイノベーションが促進され、また、競争性が確保されるための条件を特定すること
これらのプロセスを経て、実際には複数の医療サービス・モノの調達(病院ベッドの清掃機器/手法の調達において、イノベーションを活用したプロジェクト等)が試行されました。
次回は、試行された個別プロジェクトの概要等を紹介したいと思います。
(出典)
EUウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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