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2017-04-03

Column43 (04/03):付帯的政策に関わる評価(3)(米国)

Column16「公共調達における付帯的政策(2)(米国)」で紹介したとおり、米国連邦政府では、調達における中小企業を対象とした支援プログラムの1つとして、「Mentor-Protégé Program」を実施しています。

具体的には、一定の要件を満たすメンター企業と中小企業の両方を募集し、要件を満たしたメンター企業が、支援対象となる中小企業に、会計やマーケティング等の経営面の支援、投資や貸付等の財務面での支援、共同体での応札等の調達面での支援等、各種経営支援を行うものです。

メンター企業と支援を受ける中小企業は、事前に支援の目標及び目標に向けての計画やタイムライン等に合意(Mentor-Protégé Agreements)することになっています。

このメンター企業と支援を受ける中小企業との合意には、Mentor-Protégé Programの実績報告と実績についてのレビューを受けることが含まれています。

Mentor-Protégé Programのレビューとはどのようなものなのでしょうか?

今回は、国防省(Department of Defense)において装備品の契約管理及び契約履行等を行う防衛契約管理庁(Defense Contract Management Agency)によるレビューを紹介します。

防衛契約管理庁のレビューでは、毎年度、Mentor-Protégé Programにより支援を受ける中小企業(2015年度で71社、支援領域はIT分野等)について、以下の実績等をまとめています。

・雇用の増減数
・売上の増減額
・国防省との契約金額(元請契約額、下請契約額、メンター企業からの下請契約額とその他企業からの下請契約額)
・Mentor-Protégé Program終了後の業績(雇用の増減、売上の増減、国防省との契約金額)

Mentor-Protégé Program終了後の業績では、合意(Mentor-Protégé Agreements)時点からの増減、合意終了時点からの増減、終了2年間のネットの増減をそれぞれ公表しています。

もちろん、Mentor-Protégé Programの支援を受けた企業における雇用、売上全体の増加が示されているため、それらの増加(効果)のすべてがMentor-Protégé Programによる純効果とは言えないですが、こうした支援プログラムの効果を検証しようとする仕組みが存在するということは重要でしょう。

Column5「HUBZone Program (米国)」でも紹介したとおり、調達における他の支援プログラムである、HUBZoneプログラムでは、HUBZoneプログラムを所管する米国中小企業庁(U.S.Small Business Administration)が、HUBZoneにおける雇用、投資に対するプログラムのインパクト評価(議会報告)も実施しています。

近年、公共調達を活用した取組が積極的に推進される一方で、特定の政策目的を達成するためには、税制優遇等、公共調達以外の様々な政策手段が考えられるなか、公共調達を活用することの有効性を検討することの仕組みを法定又は法定されていなくても何らかの形で仕組みが存在することは非常に重要ではないでしょうか。

(参考資料)
Department of Defenseウェブサイト
Small Business Administrationウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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