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2017-03-27

Column42 (03/27):上下水道のフレームワーク合意(英国)

Column33「中小企業の受注機会増大に関わる取組(2)(英国)」では、Estates Professional Servicesに関するフレームワーク合意を結ぶことで、成長を遂げた中小企業の事例を紹介しました。

今回は、2014年水法(The Water Act 2014)の成立により、2017年から企業や公的機関等が水供給事業者の切り替えを自由に行えるようになったことを受けて、2017年4月3日から新たに導入されるフレームワーク合意、上下水道のフレームワーク合意について紹介します。

はじめに、フレームワーク合意とは、「2006年の英国公共契約規則に規定された“長期指名候補者と事前合意制度”のことで、長期指名候補者(フレームワーク企業)を選定した上で、これら企業との間で4年を限度とする一定期間内の個別発注(コールオフ)に関する受注者及び契約額の決定方法、契約条件等(フレームワーク)に予め同意する方式」です。

英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、CCSという)は、様々なモノ・サービスを公的機関に提供するYPO、Eastern Shires Purchasing Organisation (ESPO)、North East Procurement Organisation (NEPO)や、公的機関に各種エネルギーを供給するWest Mercia Energy社、The Energy Consortium及び国防省と協力し、英国で最大規模の上下水道に関わるフレームワーク合意を結びました。

フレームワーク合意は2017年4月から適用可能で、フレームワークの合意期間は3年、最大4年まで延長可能です。

個別発注の際には、(フレームワーク合意機関との随意契約ではなく)フレームワーク合意機関の間での競争により契約相手方を決定する必要があるものの、フレームワーク期間内であれば、適時、個別発注が可能です。

フレームワーク合意の対象となるサービスは、現在の上下水道サービスに加えて、上下水道の効率的な利用に関するサービス(メーターの自動読取、漏水検知等)が含まれています。

このフレームワーク合意を活用するメリットとしては、支払いの一本化(複数の拠点をもつ機関の場合、各地域の事業者サービスを利用していたが、これを1つの事業者に統合することで支払いの一本化が実現等)や、利用者サービスの向上、supply marginによる節約等が挙げられています。

日本でも、2016年4月からの電力小売全面自由化により、小規模庁舎の電力調達においても競争性を高めるための取組が推進されています。

具体的には、競争性のない随意契約の解消等が進められていますが、加えて、複数年での契約等、契約方法を工夫することも考えられるかもしれません。

(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
国土技術政策総合研究所資料第908号「英国・米国における包括・個別二段階契約方式-フレームワーク合意方式(FA)と数量未確定契約方式(ID/IQ)-」

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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