Column41 (03/25):中小企業の受注機会増大に関わる取組(3)(英国)
Column28「公共調達における付帯的政策(2)(G-cloud)(英国)」で紹介したとおり、英国では、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Service(以下、CCSという)が、政府との契約を締結した中小企業の事例を紹介しています。
CCSが紹介する事例は、政府との契約を締結したことで、中小企業がどのような発展を遂げたのか?、という視点で整理されています。
Column32「中小企業の受注機会増大に関わる取組(1)(英国)」では馬の飼料の供給契約を締結しているFox Feeds社の事例、Column33「中小企業の受注機会増大に関わる取組(2)(英国)」では不動産に関するアドバイザリー業務契約を締結しているMontagu Evans社の事例を取り上げました。
今回は、Kindred社の事例を取り上げます。
Kindred社は、ウェブサイト上でのPR等、様々なキャンペーン業務を受注している中小企業です。
同社は、官公庁の調達プロセスは、初めは不慣れな部分が多かったものの、調達のプロセスやCCSとのフレームワーク合意の情報は分かりやすく整理されており、仮に分からない点があっても簡単に質問することができ、さらに、どのように自分たちの仕事が評価されるかが明確であるため、初めて官公庁の仕事をする場合でも、仕事を進めやすかったと報告しています。
そして、官公庁との契約の結果、ここ2~3年で従業員数が10%増加し、70名を超える体制が構築されるとともに、官公庁との契約実績が新規クライアントの開拓や新規投資に向けた信用力向上に寄与している、とのことです。
以前紹介した事例のFox Feeds社、Montagu Evans社と同様に、Kindred社の事例でも、官公庁との契約の効果として、「信用力の向上」といった定性的な効果に加えて、「官公庁との契約締結後の雇用増加数」といった定量的な効果も把握・評価している点がポイントだと思います。
日本でも、Column2「公共調達に関する制度」で紹介したとおり、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)」(昭和41年法律第97号)があり、官公需法は、国等が物件の買入れ等の契約を締結する場合における新規中小企業者をはじめとする中小企業者の受注の機会を確保するための措置を講ずることにより、中小企業者が供給する物件等に対する需要の増進を図り、もって中小企業の発展に資することを目的としています。
これらの目的が達成されているか検証するため、果たして公的機関との契約が中小企業の発展に貢献したのか?、という点を(事例を積み上げる形でも)定量的・定性的に分析していくことは重要でしょう。
(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
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