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2017-03-20

Column39 (03/20):連邦政府の一者応札等に関する検査(米国)

今回は、米国会計検査院(Government Accountability Office)のレポートのうち、2017年3月に公表された、連邦政府の調達に係る経年分析のレポート(CONTRACTING DATA ANALYSIS Assessment of Government-wide Trends)を紹介します。

このレポートは、軍(陸軍、海軍、空軍)と、内務関係機関(civilian agencies)のうち2015年度の契約実績上位10機関を対象に、2011年度~2015年度に調達しているものやそれらの競争性等、様々な観点から分析を行っています。

今回は、一者応札を含む競争性の分析結果の概要を紹介します。

(1)連邦政府の全契約のうち、競争的な方法により締結された契約の割合は、2011年度~2015年度の間、いずれも3分の2弱で推移している。ただし、内務関係機関の方が、国防総省(Department of Defense)よりも競争割合が高い(内務機関:2011年度は75.8%、2015年度は79.4%/国防総省:2011年度58.4%、2015年度:55.4%)。

(2)2015年度に、競争的な方法により締結された契約(約2,820億ドル)のうち、一者応札となった割合は14%(約400億ドル)である。

(2)の一者応札について、米国会計検査院は過去に何度も勧告を出しています。

例えば、最近では、2014年、国防総省に対して、一者応札となった場合に、競争制限的であったかを判断するために仕様をレビューすることや、潜在的な競争参加者が競争に参加しなかった理由を把握すること、更には、契約金額や当該案件が繰り返し発注される可能性を考慮することを含めて、その理由を評価し記録する際のガイダンスを作成するよう勧告しています。

これに対して、国防総省は、契約担当官が、市場調査の段階で関心を示したものの競争に参加しなかった事業者からフィードバックを受けるよう、覚書(memorandum)を発出しています。

また、このフィードバックの結果は、今後の調達で競争制限的な内容を改善するために活用することを予定しているとのことです。

他にも、2010年には、連邦調達政策室(Office of Federal Procurement Policy)に対して、府省が一者応札となった状況を定期的にレビューし厳しく評価するために連邦調達規則を改定すべきか決定するよう、勧告しています。

これに対して、連邦調達政策室は、一者応札の割合が2011年度の17%から2015年度には14%まで減少していること等を踏まえて検討していると回答しています。

日本でも、行政改革推進会議「調達改善の取組の強化について(調達改善の取組指針の策定)」において、一者応札の解消に向けた取組が位置付けられ、各府省で取組が進められています。

米国連邦政府と契約の規模は異なりますが、日本の中央省庁での一者応札の割合は、2014年度で17%と、米国連邦政府とそれ程かけ離れていない割合となっています。

日本でも、一者応札となった原因等の把握等、改善取組が進められていますが、米国会計検査院が国防総省に勧告したように、競争に参加しなかったものの関心を示した事業者に、不参加の理由についてヒアリングすること等は、地道な取組ではありますが、重要な取組と言えるでしょう。

(参考資料)
Government Accountability Officeウェブサイト
内閣官房ウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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