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2017-02-14

Column34 (02/14):迅速な支払いに向けた取組(1)(英国)

英国中央政府は、公共調達における迅速な支払いに向け、様々な取組を行っています。

具体的には、2010年から、受領した納品書・請求書(invoice)を5日以内に支払うことを政府公約として掲げ、その後、2015年公共契約規則では、全ての公的機関が受領した納品書・請求書を30日以内に支払うことが規定されました(5日以内の支払いは努力義務です)。

そして、これらの取組に係る透明性の向上として、エージェンシー等を含む中央政府では、2015年4月から、四半期ごとに納品書・請求書の5日以内と30日以内の支払い状況を公表し(期間内に支払った割合を公表)、2016年4月からは、支払い遅延により契約相手方に支払った遅延金の金額も公表しています。

上記は公的機関から契約相手方への支払いに関する取組ですが、2015年公共契約規則では、元請け・下請け間においても、30日以内の支払い完了を順守することを求めています。

そこで、発注者は元請け・下請け間の支払い状況をスポット的に調査したり、英国内閣府が所管するエージェンシー(executive agency)の一つ、Crown Commercial Serviceが運営するMystery Shopper(詳しくは、Column24「企業からの問合せ対応(Mystery Shopper)(英国)」をご覧ください)をつうじて、支払い遅延に関する苦情等を受け付けています(隔週で行われているMystery Shopperの結果公表において、支払いが遅延した案件の発注者名は公表されます)。

日本でも「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」(昭和24年法律第256号)があり、適法な支払請求を受けた日から工事代金については40日、その他の給付に対する対価については30日以内に支払うこととされています。

また、同法では、財務大臣が省庁及び公団から支払い状況の報告を受け、実地監査を行い、必要に応じて閣議の決定を経て支払について必要な指示をすることができるとされています。

加えて、国の会計事務を処理する職員が故意又は過失により国の支払を著しく遅延させたと認められる場合は、職員を懲戒処分しなければならない、という厳しい内容となっています。

ただし、英国中央政府と異なり、日本では、各府省の支払い状況や支払い遅延金の金額等のデータは公表されていません。

各府省における迅速な支払いを促進するため、また、特に新規中小企業者にとっては重要となる、事業者側でのキャッシュフローの予測を容易にするため、各府省の支払い状況や遅延金等に関するデータを公表することも一案かと思います。

(出典)
Crown Commercial Serviceウェブサイト

Social Policy Lab㈱
川澤良子

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