Column15 (10/16):地域における中小企業の受注機会の促進(米国)
Column14「付帯的政策に関わる7つの成功要因(2)(米国)」では、調達を行う各府省に小規模・条件不利事業者活用促進室(Office of Small and Disadvantaged Business Utilization)が設置され、同室の役割の一つに、「各支所に中小企業の受注機会促進に関わるアドバイザー(フルタイム職員)を配置すること」があると紹介しました。
このような地域における中小企業の受注機会促進に向けた取組は、中小企業庁(Small Business Administration)でも実施されています。
具体的には、中小企業庁の6つの支所(area office)に、中小企業の参加促進に向けた相談・調整を行う「調達センター担当者(Procurement Center Representatives)」を配置しているのです(原則として、各支所に1名以上の調達センター担当者を配置することが規定されています)。
以下では、この調達センター担当者について紹介します。
調達センター担当者の主な役割は、「公告前に」各府省の調達方法を確認し、発注者にset-asideの適用を助言(recommendation)することです。
具体的には、調達センター担当者は、公告前に各府省の調達方法を確認し、その方法では、中小企業が元請契約者となりにくいと判断すると、確認後、15日以内に各府省へset-asideを適用し得る事業者(women-owned small business等)を助言することができるとされています。また、助言した後の定期的なレビューも行われています。
このように、「公告前に」各府省との調整が可能なことから、個別ではあるものの、具体的に中小企業の参加促進に向けた検討・調整を進めていくことができるのです。
また、調達センター担当者は、日頃から中小企業の市場調査を実施しているため、受注可能な中小企業を具体的に提案できるという面もあります。
他にも、調達センター担当者は、契約や支払に関わる問題について中小企業をサポートしたり、調達プロセスについて中小企業へ説明を行ったりしています。
なお、中小企業庁の支所には、上記の調達センター担当者以外に、民間市場担当者(Commercial Market Representatives)も配置されています。この民間市場担当者は、元請契約者の審査(compliance review)を行い、中小企業に対して下請契約先となりうる方法を提案するとともに、元請契約者と下請契約先になりうる中小企業のマッチングも行っています。
中小企業の受注機会の促進に向け、調達センター担当者による発注者への働きかけだけでなく、民間市場担当者による元請契約先への働きかけも行っている点は注目に値すると思います。
(参考資料)
U.S.Small Business Administrationウェブサイト
Social Policy Lab㈱
川澤良子
コメントを残す